私立大学職員のブログ

西日本の私立大学で働く職員のブログ

「教育については、誰もが何か言いたくなる」問題

ここ最近、学力試験を廃止しようとか、1点刻みの試験ではなく、総合的に評価できる達成度テストを導入しようとか、主に大学の入学者選抜に関する提言が、国の諮問会議から色々と出ている。

その内容について思うこともあるが、内容よりも気になるのは、教育問題(特に大学入試)に対する世の人々の向き合い方だ。

一言でいうと、「誰もが何か言いたくなる」んだよなあ、ということ。

良く言えば関心が高いが、悪く言えば無責任だなと。

特に大学入試の話題となると、その盛り上がりたるやすごいものがある。

ツイッターとかSNSとか、せいぜい自分の分かる範囲でしか見ていない、というバイアスはあれど、一般に「教育については、誰もが何か言いたくなりがち」とまでは考えてしまって差し支えないのではないだろうか。

 

このように、「誰もが何か言いたくなる」のはなぜなのか。

偏差値だとか学歴だとか序列だとか、そういうトピックがみんな割と好きだ、ということはあるかもしれない。

しかし、最大の要因は、「誰もが経験したことだから」ではなかろうか。

 

日本というのは非常に恵まれていて、ほとんど誰もが、一度はこの国の教育システムに放り込まれる。

国公私立の違いはあれども、義務教育を受け、ほとんどの人が高校に行き、さらにその中から半分が大学へ行く。

大学まで行く人というのは基本的にリテラシーが高くて、教育について何か一言発言するくらいのことは余裕でできる。

だから、何か言ってやりたくなる。

自分が経験したことだから。

なんとなく、そのことについてよく知った気になっていて、なんか言えそうな気がする。

でも、しょせんそれが、経験に縛られた発言に過ぎないということを忘れたくない。

例えば、「自分が学生の時は~」云々と言ったところで、進学率が30%の世代と、今とでは、大学の役割も全く違うのだ。

 

批判的な意見の中には、代案を出さないものもある。

じゃあどうしたいの?

まさか、未来永劫このままでいいと思っているの?

そう言いたくなる。

今のままではダメだ。変えていこう。どう変えていくのか?

ああしよう。いや、こうしよう。いやいややっぱりこうだろう……。

そういう前向きな議論をしたいものである。